短歌集
ランダムに一首
8月
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我儘と知っているけどただ水のように流れていたい夜がある
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蒸す路地 ぬり壁のあわいに雨ざらしの馬鹿がいた あれは自分か
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石灰の散る長靴の黒 星空ならいいねと俯いた君
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なにもわからないけど短歌書く クレジット減らないからもう一首
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「曖昧な言葉が増えた」とわらう友 定義などしていられるかよ
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橙の雲 マリポサの森 今見えるすべて むくと立ちいざ行く
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つま先で僕を越す君と踊りたい 高く 高く 帰れなくとも
9月
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踏む道に涙もあると 彼らも昔思ったかそれが救いか
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目についた薄藍たちも遠雷もポッケに詰める 何かあるまで
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僕が見たあれと君が見たこれ 同じなら生まれなかったプリズム
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肋骨の上らへん奥のヘンな隙間 電気を消してかき混ぜて
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尽きる気もしない約束 とりあえずチルドにしまっておく 明日ね
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海をちぎった石ひとつ まだ乾くな 庭先の母に見せるんだ
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なま焼けの芯へ余熱がゆくあいだ 火を消した手の置きどころなど
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甘ささえ気にせずすべて吸い込んだ あれは病 あれが夏だった
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とぼ餅を焼くほどもなくわけもなく いや平たいままを見たいのか
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遠くスパンコール 明日も羨むわたし 輝きはピンクのままで
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あめよあめよ 残らずぬぐったみちすじに だあれも置いていかないで
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内緒で空へ伸びゆく虹の あわあわになって消えたい月曜日
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もしも阿修羅の手なら ふたつは猫 ふたつは君に あとは洗いもの
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しろくま皿じゃこぼれそう 濡れたナッツとクランベリー なんかいいね
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俺の身に榧の実ひとつかたくある 壁のどこへ投げてもよいのか
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あたたかいミルクボウロの溶ける夕べ いちばん好きな色と風と
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スパイスとクリーム 亜流線のマーブル 終わる日もやさしいままに
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底抜けのおはなしに真昼の大笑い トリキトラケなパパルーチャ
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増えるばかりの秘密を遠心力で放る 僕はグミチョコが好き
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やわらかい薄ひだの不安もくもくと 稜線の果てから今夜も
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青空のへそから見えた向こう側 僕らはウルトラに飛び跳ねる
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山盛りの稲妻に 狐目でねめあげられておかしくなりそうだ
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ナイフ 蝋 蒸し栗の渋 土と藍 冷えた座布団 熾火のとろみ
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やわくかわいたおがくずの毛布に眠る このひとかけならどれだけ
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街で見たメゾチント しら雨に走る絵柄 深みに殴りかかる
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つっぷしたい日 桐箱を開けて嗅ぐ 飴のわたしで満ちますように
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抱きかかえてなめる透けた金平糖 はじけたならよろこびひとつ
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愛憎とまたたくスピノザのエチカ 初嵐にチャイラテがゆれる
10月
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てらてらとほら 苦い時代の跡 拭うナプキンの他はどうでも
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きいろいお星をからだじゅう貼ってね わたしが見えなくなるくらいに
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テーブルから薄目をあげて 寄せた酢橘のまるいのを見つめてみる
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力づくで組み立てたエウノイア 僕たちの午後 君だけが日なた
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あれよあれよという間にこんなものになり あれよあれよと踊るだけ
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あなたがくりかえしあつめていまいきづきだしたとっておきをみせて
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くすんだお昼の律儀なおとうふ 取り返しのつかないまで崩す
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おしらせを流して西東 瓶詰の天国でまた語ろうよ
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けむ吐く歌はいやだイヤだとそれも歌になる みんなおつかれさま
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お腹の何処かのちっちゃなのが にび色の鈴虫に変わる喜び
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あったかい夜が僕を上へ下へかける 太鼓の音も消えたよう
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好きで好きで好きで描く誰かがくれた 三日月じるしのメッセージ
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バター切らしたままだったのね こまったこまった 油をささないと
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見知らぬ人と見知ったことをはんぶんこ 気をつけて 餡子落ちるよ
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今朝も言葉ひとつが欲しい あなたを見つけて以来のヒステリシス
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水玉に三角四角 遊ぼう今日も ルール無用のビリヤード
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やまない風吹くすすき野に立つ僕ら 生き様についてのピュリズム
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銀杏の裏の窪み 濡れた腰掛け石 みてみてと君を呼ぶ夢
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ひとり「わ」と言った口のまま家に帰ってみる わざと置いてけぼり
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青空でこんなに氷が溶け散ると 誰かに教えてほしかった
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オレオを齧り オレオを齧っていると わかる人になりたい ような
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まるいグラスのつるみにぎゅうっと集うひかり どれかが僕の瞳
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しろい世界のしろい部屋のしろい君から いま爆発する恋慕
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屈んでとらえた雨上がりのグリース 息も止めて少し遊ぼう
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毛ほどのきらめきの見えたのを踏む あなたと僕と 夢見の在処と
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ぷっつりちぎれた私のあちこち てんでに生きて誰が眺めるの